オルダス・ハックスリー

たぶんこの世は、別の惑星の地獄にちがいない。
-[1894 -1963] 英国の作家 オルダス・ハックスリー(代表作「すばらしい新世界」1932年作)の言葉-

ハックスリー云々よりも、この発想がおもしろいよね。ハックスリーの生涯に関わる歴史は戦争の歴史だよね。多感な時期に第一次世界大戦、思慮深くなるときに第二次世界大戦。彼は後年アメリカに移住してるんだけど、ヨーロッパに愛想つかした気もわかる。それを端的にあらわしたのがこの言葉だ。別の惑星の地獄が地球なら、われわれは罪人で流されきたってことになるなあ。じゃあわれわれにとって隣の火星や水星こそ生物も棲めない地獄の星だと思いがちなのだが、罪人もながれてこないこれらの星こそ、天国なのかもしれないな。おそらく生物という概念もわれわれの科学的常識をもっと超えたところにあって、天体自体も生命体であろうし、太陽などの恒星の核融合反応による紅蓮(ぐれん)のコロナもその動きを見ていると生命体の意思があるようにすら思える。いやおそらくそうなんだろう。たぶん宇宙的なレベルになると、「生命」という概念は科学的生物学的ものではなくて哲学的なものの説明のほうが理にかなっているのかもしれないと思うぞ。なるほど、地獄も住んでいる当人にとってはまあ悪くもない世界なのかもしれない。この世で幸せを感じている人は、焦熱地獄の餓鬼(がき)ではなくて、それをやりでつつく小悪魔なのかもしれない。神と悪魔は表裏一体、かのメフィストフェレスもファウストに自分の正体をこう言っている。「私は、最初全てであったものの一部、つまり、あの光を生んだ闇の一部なのです」

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