織田信長

天下布武
-[1534-82] 戦国安土時代の武将 織田信長の印章-

ご存知、織田信長が好んで使ったスローガンです。単純に読むと激しい性格の信長ですから、「武力をもって、天下をとる」と思いがちですが、意味は「天(あめ)の下、武を布(し)く」。つまり、武家の政権を以て天下を支配するとの意であるといわれています。この「武家」の「武」っていうのが現代の解釈とちょっと違っているらしいぞ。「武」っていうのは、戈(ほこ)をもって戦を止(と)めるという意味の造語であり、本来防衛をさすと言われています。「侍」という字が、「侍従(じじゅう)」、使える者って意味だから、本来日本人は共同体の中で和を保とうとする傾向が強かったのではないかと思っています。だって信長の支配が過激だったっていうけど、西欧や中国あたりの歴史と比べるとかわいいもんだと思うぞ。彼らの歴史の残忍さ、苛烈さは強烈だ。信長は確かにそれまでの様式美を大事にする武将とはかなりおもむきが違い、合理的に物事を考える人であったようだ。信長よりも強かったと思われる上杉謙信や武田信玄、また信長が直接討ち取った今川義元なんかとはこの合理性が決定的に違うと思うぞ。現代人に通じる指向性のルーツ的存在かもしれない。まさしく天が彼に味方したんだろう。しかし、その天下も長くは続かない。信長が本能寺で暗殺されていなかったら・・って言う人が多いけど、京都の旧家の人あたりに聞くと、本能寺はもともと武器庫のような寺だったらしく、信長はんも油断しはった・・なんてまるで昨日あったような言い方をされる。先人のおごりをいましめた天才は、自分のおごりに滅びたのかもしれない。そして天才の後を継ぐ子供たちはどれも凡庸(ぼんよう)で、ギラギラした成り上がりの赤の他人の秀吉が継承することとなる。理想主義者の信長にとってさぞ無念だったろうなあ。

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