アーサー・C・クラーク

時のあけぼの以来、およそ一千億の人間が地球上に足跡を印した。銀河系の星の数もまた一千億。地上に生をうけた人間ひとりあたりに一個ずつ、この宇宙では星が輝いているのである。
-[1917-2008] 米国の小説家 アーサー・チャールズ・クラーク「2001年宇宙の旅」前文p21より-

なんということだ!つい先日、古賀武夫先生が亡くなったと思っていたら、今度は偉大なる作家アーサー・C・クラークが亡くなった。これでSF界の三巨人、I・アシモフ、R・ハインライン、A・クラークがみな鬼籍に入ってしまった。バイカー修ちゃんはあまりSFを好まない。意外でしょ?だって、そこの浅いつまらない子どもだましが多いんだもの。でもね、よくできたSFはおもしろいよね。その意味で、上記3人の巨匠の中では、やっぱりアーサー・C・クラークがもっとも好きです。よく、「人間が描けていない」って批判があるけど、それは非常に浅薄(せんぱく)で当たっていないと思うぞ。クラーク先生の描く物語は、例外なく壮大な話が多い。残念ながら、宇宙に放出される、物理学でいう・・いわゆる「消費エネルギー」の“余り”で生成された一生命体である「人間の心の中」なぞの矮小(わいしょう)な世界を描くために「2001年宇宙の旅」や「幼年期の終わり」を書いたわけではないことは熟読すればわかる。評論家に多い、ストーリーをなぞって評論してるたぐいの書評であろうな。この「今日の一言」の文章を読んでごらんよ!なんて詩的な表現なんだ。バイカー修ちゃんはじつはよくこの文章を引用させてもらってる。クラーク先生は科学的説明を品格のある文学的表現であらわせる数少ない人だった。バイカー修ちゃんは何を読んでも美しいこの人の小説が大好きだった。もうそれも新刊で読めなくなってしまった・・。でも大丈夫さ。クラーク先生は今ごろ、土星の衛星軌道上を回る「モノリス」の中で、自分が生み出した「ボウマン船長」や「HAL9000」とチェスでも楽しんでいるだろう。スターチャイルドとして空間と時を超越し、光子と化して、木星の衛星「エウロパ」の厚い氷の下の海の中をのぞいたり、ベガの四連星を見下ろしながら、今見てきた宇宙の不思議が、自分の小説をはるかに超えることについて、アシモフやハインラインと熱い議論を交わしているだろうな・・・。

月別 アーカイブ