トーマス・アルヴァ・エジソン

こいつらいったい、いつ働いているんだ?何の仕事をしているんだ?パリに来て以来、きちんと物を作っているところなんか見たことがない。ここにやってくる技術者連中なんて、流行の服で着飾って、ステッキ持っていつ働いているんだろう?
-[1847-1931] 米国の発明家 トーマス・アルヴァ・エジソン1899年8月19日パリでの感想-

このエジソン先生のパリ見物の感想にはおもわず笑ってしまった。ご存知、エジソン先生は「大半の人がチャンスを逃してしまうのは、チャンスが作業着を着て、一見仕事に見えるからである」(2003/04/21掲載:http://www.q-bic.net/biker/diary/html/200304/21.htm)
という言葉にあるように、病的に働き者だった。それこそ寝る間も惜しんで狂人のように電球の発明に没頭した人だよね。20世紀前夜のフランスは近代文明の極地のような様相だった。退廃的で、享楽的、世界の中心で、フランス人もそれを自覚してはいたものの、「賭博は、時間を一種の麻薬と化する」というベンヤミンの「パリ十九世紀の首都」にも記述されるような状況だった。これから40年後に、新興国アメリカが「世界のモノ造り大国」となって浮上し、パリはドイツ軍によって陥落。ヨーロッパの状況は一変する。第一次大戦には辛くも勝利するものの、第二次大戦には敗北。アメリカのルーズベルト大統領はフランスのふがいなさに怒ったという。長い長い、それこそ一世紀にもおよぶ停滞に苦しむ。このエジソンの見たパリの様子にその前兆が現れているのかもしれないな。今のわが国もこうなってるんじゃないだろうな。第二次大戦開戦当時の1940年代のフランスって飛行機作っても、戦車作っても、なんか妙なシロモノが多いんだ。これはこれでマニア受けするんだけど、となりのドイツ製とくらべるとまったくアタマをかしげるような妙ちくりんなメカが多く、まったく説得力に欠けるんだな。じゃイタリア製のように芸術的感性にあふれてるかというと、これまたフランスものはこっけいにしか見えない。宮崎駿さんのネタ元になりそうなものが多いんだ。飛行機の足の引き込みメカなんか不条理でいかにも故障しそうなメカが多いんだ。事実、性能もパっとしない。先進国フランスの技術的退廃は、すでに19世紀末からはじまっていたんだねえ。

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