エドワード・T・ホール

『ポリクロニックな時間』  時間を守らない文化社会

                地中海文化圏、南米諸国、

                アラブ諸国

『モノクロニックな時間』  時間を守る文化社会

                北アメリカ、ドイツ、日本

国際会議でコーヒーブレイク後の再開時、時間どおりに入ってくるのは日本人とドイツ人だけである。

‐[1914-] 米国の文化人類学者エドワード・T・ホール「文化としての時間」より-

エドワード・T・ホールの考えはとても斬新でおもしろいと思います。

文化というキーワードから、言語・空間・思考などの伝わり方をおもしろおかしく教えてくれます。

彼は日本人は言葉にたくさんの「暗黙知」がついており、以心伝心で理解しあえる文化なのに対し、欧米言語はそこが希薄で、たくさんの「説明文」がつかなければ伝達できないというような意味のことを言っています。

なるほどねえ・・。

確かに世界をまわると、大方の国では「恐ろしいほど時間にルーズ」な国が多い。

ま、だいたいバスも電車も時間どおりこない。

待ち合わせしても時間通りあらわれたら奇跡だ。

アメリカだって「モノクロニックな時間」に分類されているけど、アメリカに居るとき今は無き「Kマート」や「ウオルマート」に買い物に行ってすさまじく並ばされた経験のある人は多いだろう?

またレジ計算もいいかげんなもんだから、みんなレジ係りを信用していない。もらったレシートをつぶさにチェックして間違いがあろうものなら、大声でクレームをつける。

これがはじまるとレジは止まる、しかし・・短気で直情的な人が多いアメリカなのにこんなときはおとなしく並んで待ってるんだよな。

明日はわが身だからだと思ってるからだと思うぞ。

アメリカで「POSシステム」が発明されるわけだよなあ。

本当に彼らは計算も遅い人が多い。明治時代、日本に来たアメリカ人が、複雑な計算をソロバンでパンパン計算する日本人があまりに多いことに驚くはずだな。

メキシコ人やブラジル人にいたっては、あまりのユルさに人間不信に陥ったくらいなんだけど、これが1ヶ月もすると微妙に感じ方がかわってきた。

彼らはけっして「いいかげん」じゃないんだ。

メキシコ人は親切だし、義理堅い。

こんなことがあった。メヒコ(メキシコシティ)に着いたとき、ソカロ(広場)の道端のカフェで強いコーヒーのエクスプレス(エスプレッソのことね、当時は英語のエクスプレスって言ってた)を飲んでたら、ホセルイスってカフェのボーイがなれなれしく話しかけてくるんだ。

いかにもアヤしげでC調なメキシコ男ってカンジだった。軽いノリで・・。

このホセルイスが「キミは珍しいハポネーセ(日本人)だから、友だちに紹介したい!」って言い出してディスコ(若い人にはわからん言葉だろうなあ、いまの「クラブ」ね!)っぽい酒場に連れて行かれた。

もう心は猜疑心でいっぱい《こいつはぜったいアヤしい!》

日本のママが作ってくれた3つに分けた巾着に全財産(・・っていっても50ドルくらいか?)を分け、一つはジーンズに縛り付けてパンツの中に、もう一つは首からヒモでさげてTシャツの中に、もう一つはバッグパックの中に。そして日頃使う小銭はハダタ銭で右のポケットへ。

これがバッグパッカーの常識だ。

サイフに入れてケツのポケットに入れるなんざ「盗んでください」って言ってるようなもんだぞ。

強盗にあっても(何度もあったけど・・)ポケットの20ドル盗られるだけですむだろ?

カネはなるべくクシャクシャにして持っとくもんだ。

きれいなピン札なんでまとめてスられる。

おっとっと脱線・・・。

ママの巾着を手で確認しつつ、ホセルイスに気は許さない。

友だちっていう男女が5~6人集まって、テキーラを飲まされた・・・不覚!

なんかタコスやエンチラーダやら、ポーリョ・エン・モロ(チキンのスパイス煮:めちゃうまいです)

ごちそうだ~!!バナナばかり食べてたから、おなかはすきっぱなし!

これはますますヤバい! こいつら絶対僕を狙っている!!

ハッキリ覚えてる。目の前のホセルイスや、お姉ちゃんたちが視界の下に消え、天井のシャンデリアが目の前に見えたんだ・・・。

そう65度もあるテキーラを何度もあおらされて目をあけたままひっくり返ったのでした・・。

気がついたら、ワーゲンビートルに揺られていた。

「ああ、メヒコでついに一巻の終わりか・・・」深酔いしてても身の危険は感じたな。

みんななぜか車内で介抱してくれている・・・あれ?

元のソカロの前じゃないか?

ホセルイス:「スー(シュウって言えない)、今日は楽しかった。せっかく日本から来てくれたから、楽しんでほしかった。でも、あまり楽しくなさそうだったなあ。よい旅を!」

僕:「あれ、食事代は?」

ホセルイス:「いらない!いらない!  じゃあな!」って酒のんだままホセルイスたちははボロいワーゲンビートルで帰っていっちゃった・・・。

本当にいいヤツだったんだ・・。あんなにご馳走してくれて、踊って歌って・・・、それを僕はずっと疑っていた。

これはいまだに心残りなんだ。あれから30年・・・ホセルイスはどうしてるだろう?

ソカロのカフェは?

時間に正確なことが本当にいいことなんだろうか?

もともと時間なんて、いいかげんなもんじゃないか?

あいまいなことを大切にする彼らのほうが人間的なんじゃないか?

僕らは「時計」じゃないんだ。

時間を守るために大事故を起こした電車があった。

時間を守るためにあまりにも多くのものを犠牲にしてるじゃないだろうか?

ありもしない「時間」の呪縛で、僕らは機械になろうとしている。

今の日本に「ホセルイス」はいるのかな。

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