(伊勢神宮は6世紀当時の)高い技術も荘厳さも追求せず、(出雲大社のような)高さも誇らないが、「清潔で簡素であることを美とする」精神を湛(たた)えている。

そして画期的なアイデアが生み出された。

それが「式年遷宮」である。「定期的に建て替える」という、これまでとは全く違う方法で永続性を表現することに成功したのであった。

‐[1947-] 建築家 武澤秀一 『文藝春秋』20101月号「伊勢神宮に秘められた女帝の野望」より‐

先般行った「伊勢神宮」が頭からはなれない。

困ったもんだ。なぜか?バイカー修ちゃんは建築に関してはまったくの素人だけど、少なくとも建築に関して求める常識ってものがあって、それを「伊勢神宮」は見事に壊してくれたからだ。

日本のお寺は荘厳だ。出雲大社も立派だ。昔は信じられないほどに聳え立っていたらしい。

金閣寺はピッカピカだ。姫路城はじめお城は「口あんぐり」だ。上を向いた顔が下がることはない。

ヨーロッパに行ってもおんなじ、シェーンブルン宮殿もプラハの大聖堂も荘厳華麗で息をのんだ。

しかしあの「伊勢神宮」はどうだ?

茅葺きで高床式で、掘っ立て柱だ。茅葺きだよ!!

反り返ったこれみよがしの瓦なんてない。

1300年前でも、この建物はすでにローテクだったんだ。ここがキモだね。

まるで弥生時代だ。佐賀の吉野ヶ里をおもわせた。

おまけに白木で上塗りもなく、素材の簡素な美しさに唖然とした。

やっぱり見てみないとだめだなあ・・・。

新品で清潔で簡素であるこの美・・まさしく日本の象徴じゃないか。

永続性と技術の伝承のために20年で建て替える。

ドラスティックな戦略だねえ。

まさしくドラッカー的だ。持統天皇は女帝だけど、すごく頭のきれる人だったんだろうな。

途中、戦国時代や太平洋戦争で中断はしたけど、この20年に1回の立て替え「式年遷宮」を1300年!!!も行っているんだ。

技術の維持伝承、これにかかる500億くらいの経済的効果・・・・。

そして、人人人!!外国人もたくさんいる!!!

老人だけじゃないぞ。ワカモノだってたくさん来ている。

伊勢における、そして日本における経済効果はすごいもんだろうな。

持統天皇さま、あなたの時代の1300年後にここ伊勢に世界中から人が来るなんて想定してなかったでしょうねえ。

なんという偉大な戦略的建造物なんだ。

恐らく、こんな「永続的戦略」を持った建造物は世界にないだろう。

ピラミッドはたしかに4000年も建ってるし素晴らしいけど、建てたクフ王も「一回つくったらおしまい」だ。

あれを建てたエジプト人の技術は今のエジプト人に伝承はしていないだろ?

しかしたぶん、あと1000年たっても「伊勢神宮」は今のまま新品だ。

ここに戦略を学ぶ必要があると感じた。

まだ、伊勢神宮に興奮している。旅行中はだから・・・ずっと、ピーター・ドラッカーの『マネジメント』を読んで「永続性」について考えていた。

「伊勢神宮」はその有力な検証かもしれない。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://www.q-bic.net/mt4/mt-tb.cgi/1955

コメント(3)

社長業のお忙しい中、早速にお返事をいただき有難うございます!
球がこっちに返ってきてしまいましたね。おまけに剛速球で!!

『神社霊場 ルーツをめぐる』のなかで武澤秀一さんは式年遷宮のために確保されている古殿地という空白の意味に注目しています。その、樹林の中に開かれた空白こそ式年遷宮を成り立たせる存在だというのです。
つまり、20年ごとに建て替えられる社殿は仮の存在であり、樹林の中に開かれた空白こそ真の主役というわけです。
式年遷宮というシステムとそれを成り立たせる基盤としての空間。

深いですね~。感じ入りました。

武澤さんは空間、空白に対する想像力、感性のなせる業とも書いておられますが、読みながら、こういう文化伝統の中に生きている幸せをつくづく感じました。
もっとも、創った人の意図をこえて、われわれが意味を新たに付け加えているのかもしれませんね。そうだとしたら、これこそ生きている伝統ということでしょうか…。

春風駘蕩さん、いらっしゃい!
すてきなハンドルネームですね。
ちょうど、伊勢神宮に行く前に僕も『文芸春秋』で武澤さんの文章を読んでいたんですよ!
この『神社霊場 ルーツをめぐる』読んでみようと思っています。
まず春風駘蕩さんの感想を知りたいですねえ!

熱気あふれる言葉、言葉…。
感性あふれるヒラメキ。
すばらしいコラムと感じ入りました。

伊勢神宮って、素朴極まりないのに刺激的。やはり魂をゆすぶるのですね。

ご存じかも知れませんが、文藝春秋に伊勢神宮論を書いていた武澤秀一さんは最近、『神社霊場 ルーツをめぐる』(光文社新書)という本を出されていて、そこでも伊勢神宮を独自の目線で紹介しています。これにも感銘しました。バイカー修ちゃんの感想をお聞きしたいものです。

コメントする

月別 アーカイブ