ジェームズ・C・コリンズ

基本理念 = 基本的価値観 + 目的

基本的価値観

組織にとって不可欠で不変の主義。いくつかの一般的な指導原理からなり、文化や経営手法と混同してはならず、利益の追求や目先のために曲げてはならない。

目的

単なるカネ儲けを超えた会社の根本的な存在理由。地平線の上に永遠に輝き続ける道しるべとなる星であり、個々の目標や事業戦略と混同してはならない。

‐[1959-] 米国の経営学者 ジェームズ・C・コリンズ 1994年著山岡洋一訳『ビジョナリー・カンパニー(原題:"Built to Last")①時代を超える生存の原則』日経BPp119より‐

昨日は諫早中小企業家同友会の例会で講演を行った。

講演の中でこの『ビジョナリー・カンパニー』を引用したんだけど、質問の中にこの本を知らない人がけっこういた。

ビジョナリー・カンパニーってのは、「未来志向の会社」って意味だ。

でも世の中の会社はほとんどが過去の経験を繰りかえすだけの「過去志向の会社」でしょう?

 

やっぱり350万部も売れたビジネス書の大ベストセラーも、一般的な知名度は低いんだね。

経営理念や経営指針の作成に力を入れている中小企業家同友会でも、実際に経営理念(基本理念と同意:以下経営理念)や指針を作成している会社は、全体の3割にも満たないのが現状だ。

作成はしてても、社内の誰も知らないって会社もけっこうあるだろう。

それくらい「経営理念」ってのは軽く扱われている。

大方の経営者は、「経営理念」なんて必要ないと思っているんだ。

そんなものがなくったって儲かってきた経験があるからだろう。

 

しかしながら、ビジョナリー・カンパニーは、経営理念のない企業は生き残れないと説く。

それほど大事な経営理念なんだ。

「経営理念」のこの公式は、会社のアイデンティティの明確化だよね。

これからこのアイデンティティ=「私はこのような価値観を大事にする会社です」

はとっても大事だと思う。

 

「経済の時代」は終わり、いまや「文化の時代」だ。

価格や性能の数値的データが重要だった「経済の時代」から、そのモノやサービスがもつ形にならない付加価値や歴史・背景などのアイデンティティが重要になるのが「文化の時代」だ。

「文化の時代」にアイデンティティを明確にできないものは限りなく価値が低下していく・・・つまりデフレーションに巻き込まれる。

 

会社における、このアイデンティティが「経営理念」だといえる。

ゆえに、大事にする基本的価値観のない会社が、大事にする価値観は「カネ」しかないってことになる。

こんな浅ましい会社には浅ましい人材が集い、浅ましいお客様を相手にし、カネにしか価値観をおかないモノやサービスは、買い叩かれて価値は下落し、結局カネは残らないというスパイラルに陥っていく。

 

こういう会社は社長以下、独裁体制のようなイデオロギーを信望し、「売上目標」というカネ目当ての目標に、精神主義で必死になる。

「精神主義」ってのは、考えなくっても汗を流して「やったつもり」になれる。

こんな組織でも「経済の時代」は結果を残せた。

いや、こんな組織の方が「経済の時代」にはあってたのかもしれない。

 

でも「文化の時代」は多様性が大事だ。

こんなイデオロギー組織は例外なく「多様性」に欠けている。

いや「多様性」は死を意味する。

トップの「バカなことを言うな!」で新しいアイデアは潰される。

そして・・・もう考えなくなる。

将軍サマの国を見てごらんよ。「自由な発想」=銃殺だ。

経営理念のない会社はこういうパターンが多いよね。

よく経営者や管理職の方から相談される。

「うちの社員はなにも意見を言わないんですよ。」

それはね、社員さんに問題があるんじゃなくて、言えない風土をつくっている経営者や管理職のあなたに問題があるんですよ。

こう言うと、びっくりした顔をされる。

責任の源は自分の側にあるんだ。

 

今、われわれは経験したことのない「文化の時代」に突入した。

いまやあなたの「価値観」が、あなたの「正義」が問われる時代だ。

趣味もなく、こだわりもなく、読書もせず、あまつさえ「仕事が趣味」なんて言っているあなた。

あなたのアイデンティティってどこにあるんですか?

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