カズオ・イシグロ『わたしを離さないで』

あなた方は教わっているようで、実は教わっていません。それが問題です。

形ばかり教わっていても、誰一人、ほんとうに理解しているとは思えません。

‐[1954-] 長崎市出身の英国人作家 カズオ・イシグロ 2005年著『わたしを離さないでp126より保護官ルーシー先生の言葉‐

みなさん、長らく更新をサボって本当に申し訳ありません。

6日間ほど、ハワイに行っておりました。

マウイに二泊、オアフに二泊しました。この旅行記はおいおいお知らせしましょう。

今回の旅行の僕なりの目的は、8月からはじまる来期からの戦略を練ることです。

東日本大震災の衝撃は当然のことながら、バイカー修ちゃんの会社をも直撃したことは当然ながら、本当に怖いのは、物理的な影響よりも「日本人のマインドが変わってしまった」ことです。

当然、福島県をはじめ被災地では今後もいつ終るともわからない原発被害が続き、津波や震災で消失した町や家族の解決の糸口もつかめません。

でもこれは被災地だけの話ではなく、日本人全体が今までのノーテンキな享楽的・堕落的消費社会を続けることはできないと感じていることです。

おそらくモノへの関心という「経済の時代」は過ぎ、もっと心の満足を求める「文化の時代」へのシフトは加速化するでしょう。

リコーが一万人のリストラを発表したように、昨日の優良モノづくり企業は「文化の時代」に対応できず人減らしをし、ソニーの顧客情報漏えいのように昨日の栄華を誇る企業は、「文化の時代」のテロリスト「ハッカー」の餌食にされていくことでしょう。

この時代にどう進化していけばいいのか?

それを考えにハワイに行ったんです。

ハワイってのは素晴らしいところで、僕のミステリースポットなんだ。

マウイを案内してくれた日本人男性のトモさんは、カネがなくなったらガイドをやってあとはのんびりしてるって言うし、もう40代後半に見える女性ガイドのS子さんは、サーフィンやるためにマウイに移住し、食べるためにガイドをして、あとはサーフィン三昧だそうだ。

おもしろいもので、マウイのハイアットリージェンシー・マウイの部屋から一望する青い海・・・パラセイリングが飛んでいる青すぎる海を見ながら手にしたのはカズオ・イシグロの『わたしを離さないで』。

臓器提供のために試験管で生まれたクローン人間「提供者」たちを描いた異色の小説だ。

彼ら彼女らには「未来」がない。

ヘールシャムという一見寄宿学校のような隔離された施設で教育を受け、なに不自由なく育てられる。ただ・・外の世界には出られないけど。

ヘールシャムを卒業すると・・いずれ「臓器提供」を繰り返し、短い人生は終る。

それでも「人間らしく」生きさせようとする先生たちと、自分の決められた「未来」を知り、恐怖し、受け入れそれでも愛し合って生きようとする物語。

この小説は、異常な環境を題材としていながら、痛烈に今の日本を象徴しているようではないですか。

まあ、カズオ・イシグロさんにそのような意図はないでしょうが、僕はそう感じた。

今の日本の閉塞感は、ヘールシャムそのものだ。

僕らはこのヘールシャムから「抜け出せない」と思っている。

しかし、このハワイはどうだ?

白い人、黒い人、黄色い人、裸同然で歩いている人、ポルシェ・パナメーラに乗ってるセレブ、浮浪者、ストイックにダイヤモンドヘッドまで裸でジョギングする人(僕です)・・・。

なんで、いい意味でこんなに他人に無関心でいられるんだ?

なのに目があうと、「アロハ~(^_-)-☆」なんだ?!

僕がポルシェ・パナメーラをしげしげと見ていると(はじめてポルシェの4ドアセダンを見た!)オーナーのおじさんがニコニコして「いいだろ?」だって。

この表情が子どもみたいなんだ。

ふと気付いた・・・。

僕ら日本人は、形ばかりアメリカの真似をしてきたけど、なにもわかっちゃいない。

アメリカ人は、人間の「些細な違い」なんか、大した問題だとは思っていない。

しかし、日本人はその「些細な違い」こそが重大問題だと思っている。

カネを稼ぐことが目的のやつも、サーフィンすることが人生だと思っているやつも大した違いはない。

ただ、どっちも必死で打ち込むことがアメリカ流だ。

だから、この二人外見は違っても、にこにこ驕りもせず卑屈にもならず談笑してる。

カネを稼げれば成功者、サーフィンなんかドロップアウトだって思ってるのが「些細な違い」で人を差別する日本人だな。

日本は平等な社会だよ。

でもね、「些細な違い」にこだわりすぎる。

いや、社会が平等だからこそ、些細な違いで差別化スルと言ったほうが当たっているだろう。

だからなにごとも一生懸命やる奴がいない「悪平等・社会主義的」社会にる。

仕事もテキトー。遊びもテキトー。カッコだけのサーファー。

カッコだけのイミテーション文化だ。

アメリカは違う。

一生懸命やってる奴を賞賛する。

それがビジネスでも、サーフィンでも、ホテルのフロントボーイっていうサラリーマンでも一生懸命やる奴は賞賛される。

アメリカは「階級社会」だ。それだけに一生懸命やる奴への賞賛を惜しまない。

カネがあるなしですら、そんなに重大な問題ではない。

 

「ハワイまで行って読書ですか?」ってみんなびっくりする。

でもね、ビーチで読書してるアメリカ人はいっぱいいたよ。

アメリカじゃそれがあたりまえ。だって日ごろの喧騒から逃げてハワイくんだりまでくるんだよ。

読めない本が山ほどあるから、ハワイまで来て本を読むんじゃないか。

それが健全な考えだろ?

バカンスってのは、リセットしにくるんだ。

人が連れてまわってくれて、観光を「仕事化」して疲れて買い物しまくって、飛行機で居眠りして、そんなイミテーションのどこがバカンスなの?

さあて僕の来期の戦略は固まった。

価値観の違う世界に行ったら自分の価値観も変えて発想も変えなきゃ。

ハワイに日本を持ち込んでどうする。

ハワイの発想で日本に帰らなきゃ!だろう?

 

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コメント(4)

人志マンさんおはようございます。
武雄市は佐賀県ですが、もう長崎県と隣接してますよね。
昨日、長崎市で川村亨夫氏の講演を聴く機会がありました。
福岡出身だそうですが、高校まで長崎市で育ったそうです。
長崎は日本のどことも違う異文化をもっていると言っていました。
外海の町は僕も大好きで、遠藤周作文学館にはよくバイクでふらっと行くんですよ。
だいぶ前、高校時代交換留学生でわが家にホームステイしていたアメリカ人の女性が、いまやアメリカの自動車会社のスーパーバイザーとなって来日し、休暇を利用してわが家にやってきたことがありました。
できたばかりの遠藤周作文学館に連れてきて、日本で唯一見ることができるという水平線に沈む夕日を見ました。
彼女があまりの美しさに思わず泣き出したことを思い出します。
その夕日には「沈黙」のトモギ村のモデルがまさにそこであり、夕日を見ながら多くのキリシタンが亡くなっていった歴史もあるんですね。
人志さんに会えることを期待しております。

3月に西九州(佐賀県武雄市)へ引越してきました。思いもよらない異動のため、とまどいながらも、この地で何でも吸収してやろうと意気込でいます。先日6月5日(日)長崎市外海町の「遠藤周作文学館」へ赴きました。20年以上前に学生時代に「沈黙」を読み、再読して訪れた外海町は異文化そのものでした。うちの女将さん、そっちのけで約2時間自分の世界に入り込み心の浄化ができました。カズオ・イシグロさんは気になる作家で今回紹介いただいた「わたしを離さないで」は机の上に置いたままのです。早速、今夜から読みたいと思います。感想をまたご報告いたします。
P.S:バイカー修ちゃんとのお会いする日を楽しみしております。

arakansinさんこんばんは!
お元気でしたか?ちょっと忙しくてブログ更新もままなりませんでした(´~`)
バリ島ですか・・・、僕が高校生の頃はじめて行った外国がバリ島だったなあ。
あの頃(30年以上前だけど)バリ島はヤシ油の匂いプンプンで、島に信号機が一本しかなかったなあ。
でもね、14年前に行ったときには一大観光リゾートに変身してましたよ!
もう長崎は入梅です。雨ばっかり・・・。
ここ長崎でも地震が起きる可能性が高いそうで、気が気ではありません・・・。

修さん、おはようございます。
ハワイも良いけど、バリ島もねっ!!
もう随分長い間バリ島行ってないのですが、
観光地化が進んでしっまってるのかな~?
(ノエルママに聞けばよいことでした...)
仕方ないことですよね。
こちらは「小さな非日常」を求めて行くんだけど、
住んでる人にはそれが日常ですものね。
今回の震災のように「非日常」が「日常」になってしまったら、それは堪えられないことなのに...。

六月になりましたよ~。

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