遠藤周作『沈黙』

踏むがいい。

お前の足の痛さをこの私が一番良く知っている。

踏むがいい、

私はお前たちに踏まれるため、この世に生まれ、お前達の痛さを分かつため十字架を背負ったのだ。

[1923-96] 東京出身の作家 遠藤周作1966年著『沈黙』神父ロドリゴが踏絵のときに聞いたイエスの声

先般、はじめてコメントを下さった武雄市の人志マンさん。

長崎県外海町の「遠藤周作文学館」に行かれ奥様ともども感動されたそうです。

ここは日本の西の果て・・・水平線に沈む夕日が美しい場所です。

そして、小説「沈黙」のトモギ村のモデルになった場所です。

僕は何度も何度もこの「沈黙」を読みました。長崎人ですからね。

「沈黙」の物語の冒頭、長崎の丸山に住むうらぶれた外国人の老人・・。

彼は元宣教師だったらしい。子どもたちに「転びの宣教師」とののしられ、キリスト教を捨てた世捨て人のような男。しかし彼は信仰を捨てたわかではなかった・・。

 

高名な宣教師フェレイラの弟子として、ポルトガルから布教に燃えてやってきた若き神父ロドリゴの苦悩の半生を描く物語です。

今日の一言のそのシーンは・・・・信者キチジローの裏切りで、長崎奉行に捕らえられ、自身の厳しい拷問とそれ以上に厳しい「穴づり」という隠れキリシタンへの壮絶な拷問・・・・。

決してイエスの踏み絵を踏もうとしないロドリゴ・・・その度に信者が死んでゆく。

「主よ、なぜにあなたはこのような時にも沈黙されるのか?」

ロドリゴの信仰は揺らぎかける・・。

苦悩するロドリゴに、「踏み絵のイエス」がはじめて沈黙を破り語りかける。

その言葉なのです。

ロドリゴははじめて聴くイエスの声に従い、踏み絵を踏んでしまう。

 

この衝撃的なラストはカトリックでも問題になったらしく、批難されたという。

でも僕は、はじめて読んだとき感動して身体が震えた。

僕らは、みんな弱い。登場するキチジローの弱さと優柔不断さに腹が立ってくる。

でも僕らはみんなロドリゴにはなれない。

みんなキチジローなんだ!

 

マーチン・スコセッシがいま映画化してるらしいけど、どうなっているんでしょうねえ。

予算が厳しいとのウワサも聞くし、舞台の重要なシーンに大村市も出て来るんだよねえ。

ハリウッドから大村市に調査隊も来たんですが、ロケに耐えうる場所はなし。

ロドリゴが一時留置されていた「鈴田牢」も跡しかないし。

籠牢に乗せられて、長崎街道、鈴田峠を越えて行くシーンも小説に出てくる。

バイカー修ちゃんもその長崎街道を歩いて通ったこともある。

でも撮影に耐える光景はいまや残されていないんです。

 

日本は、こんな地方都市でも、高度成長の名の下に美しい昔ながらの景観を破壊していったんですね。

カナダのバンクーバーじゃ、アイスホッケーに負けたといって暴動が起きるけど、福島じゃ原発がクラッシュしても「沈黙」を守っている。

神は、天は僕たちになにをお示しになられようとしているんだろうか?

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コメント(8)

LILAさんはじめまして!
なるほど・・・牧師さんも人間。
悩める一人の人間なんですよね。
キリストは何度でも死ぬ・・・。なるほどねえ、そう考えれば踏絵は踏まれるためにあるんだね。

人志マンさんいらっしゃい!
県立美術館の「ミロ」展ですか。奥様といい時間を持ちましたねえ。
県立美術館の米田館長は大変懇意にしていただいている方で美術はもとより歴史にも詳しく大変楽しい方なんですよ。
ぜひ歴史博物館にも足をはこんでください。
こちらの大堀館長も大変楽しい方です。
村上春樹さんの「福島原発に関連する受賞スピーチ」映像を見ました!
あまり表にでない村上さんにとって異例でしたね。
じつは僕恥ずかしながら村上春樹さんはほとんど読んだことがありません。
あの有名な「ノルウエイの森」も途中で読めなくなってしまったんです。今なら読めるのかな・・・。
でもその短編の「沈黙」読んでみます!
じつは県立美術館は僕も家族でよく行くんですよ。
そのカフェにも・・・。
人志マンさんとは話があうでしょう。

人が生きるためにキリストは何度でも死ぬ
そして人はキリストを殺してでも生きる
これは、トラウマで苦しんでいる牧師が私に言った言葉です。
集団カウンセリングで一緒でした。

ホテルの案内に掲載された長崎県美術館開催の「ミロ」展を見に行きました。ミロはスペインのカタルーニャ地方の出身。
先日、カタルーニュ国際賞を村上春樹氏が受賞しました。
村上氏はいままで社会と一線をかくし、「沈黙」を守りつづけていましたが、今回の受賞のスピーチで「福島原発」を取り上げ、社会に一石を投げかけました。(本人への影響は大きいだろうなと心配しています)
私は、村上作品の短編で一番好きな作品が「沈黙」です。(ぜひ、一読を!! 修さんが書かれたホリエモンの中の「大衆」について合い通ずるものがあります。)
偶然ですが、私の心に残る小説(遠藤修作と村上春樹)が同じタイトルであり、共に自分の人生に大きく影響を与えた作品です。
ちなみに長崎県美術館の設計者は「根津美術館」「サントリー美術館」を設計した隈研吾氏で、その美術館内のカフェで、私はスペインビールとサンド、女将(かみ)さんは上柿元シャフ考案のスイーツを食べながらゆったりと過ごす時間はぜいたくであり、しあわせを感じる時ですね。

ごんたくん、いらっしゃい!
いちげんさんけっこうですよ。
誰でも最初はいちげんさんです。
メールを送りましたので宜しくお願いいたします。

はじめまして。
遠藤周作先生のお話とは無関係の事(会社で私がやらかした失敗話)をご相談したいんです。
ご多忙である事や、今回TWITTER経由でこちらのブログを拝見した(いわゆるいちげんさん)である事から、身勝手なお話ですが、ご都合がよろしければメールをいただければ幸甚です。

P4Uサマおはようございます。
はやいですねえ・・・。P4Uサマが美しい奥様と長崎に来られたのは一昨年の7月でしたね。もうまるまる2年です。
四海楼で長崎の港を見ながらちゃんぽん皿うどんを堪能し・・・なんとこのご夫婦は、「雲龍亭」で一口餃子をたいらげましたね・・。
僕の写真がお母様の実家に・・・光栄です。
震災ボランティアの後遺症がでてませんか?
こういう後は無気力症候群に陥るもんですよ。

でも大丈夫。それはリセットのための冬眠みたいなものです。
P4Uサマの感性が、ちょっと刺戟を受けすぎたんでしょう。
マイペースマイペース。
川崎の自宅でこもって心のリセット!

修サマ
もう、一昨年になりますか、、、「沈黙」は、長崎から帰ってきて、直ぐに読みました。
長崎という暗い歴史を背負った地への旅行の総括としては、出来過ぎなほど暗く、重苦しく、宗教とは何か?人間の本質とは?、、、色々考えさせられる本でした。
閉館時間を過ぎても入れて頂けた「遠藤周作文学館」、ボクも感動しました。駐車場で獲った修サマの写真は、なぜか母が気に入ったようで、実家に飾られています。

最近溜め息ばかりの毎日で、自分のブログは得意な放置プレイ♡ そろそろ修サマから喝が入りそうなので、気を取り直し、ボチボチ再開させますね。

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