絶え間なく壊すこと以外に、そして常に作りなおすこと以外に、損なわれないようにする方法はない。それが「動的平衡」である。

‐[1943-] 東京出身の生物学者・青山学院大教授 福岡伸一2009年著『動的平衡』より‐

先日10月20日(木)は熊本中小企業家同友会合同例会で報告(講演)をした。

タイトルは、「あなたは社員さんの何を知っていますか?」というものだ。

じつはわが社は毎年、「立候補制」によって組織を組み替えるので、かなりの変動が生じる。

これにはかなりのリスクを伴う。

社員が会社という身体の一部の「細胞」と捉えるなら、一年で身体を構成する細胞が「入れ替わる」ことになる。

よく人から「そんなことして組織が不安定になりませんか?」って聞かれる。

よくある質問:FAQってやつだね。

僕はこう答える「不安定にさせるためにやってるんです」って。

人間の身体の細胞は3年で全部入れ替わるそうだ。

細胞が替わってしまっても「僕」という全体は変わらない。

こういうことを「動的平衡」っていう。

なぜこんなことを生物は行うのか?

  1. 立ち止まった瞬間から「僕」という全体のエントロピー(無秩序)は増大する。

全体を秩序化するために、細胞レベルは絶えず死滅して新しい細胞と入れ替わる。

しかし・・・どうしてもそれが追いつかず、徐々に僕という全体のエントロピーは増大していく。

それが「老化」だ。

だからアクティブな人は老化が遅い。「常識」ってやつにとらわれて変化を求めない人は、全身のエントロピーが増大する・・・つまりはやく老化する。

身体だけじゃない。頭だってそうだ。

考えて、新しい知識を貪欲に求めて、感動や怒りや不安の多い人生は、脳細胞に「揺らぎ」を与え、結果・・活性化する。

つまり、「老化」っていうのは、歳をとって肉体が劣化することではなくて、鍛えてこなかった結果劣化が加速する状態だって言えるんだな。

これは会社って「生き物」にもあてはまるとバイカー修ちゃんは思っている。

組織は常に「揺らぎ」を与え不安定にしておく必要があるんだ。

組織が「安定」を感じ出したとたんに、全体のエントロピーは急激に増大し、「老化」が加速する。

そして「動的平衡」が崩れるって仕組みだね。

残念ながら、大方のコンサルタントは、こういう生物学的なロジックでものを考えない。

彼らは、「数字」と「これまでの処方箋」でものごとを考えるから、必ず答えはどこかの本で読んだことがあるようなものになる。

いまや「コンサルタント」って業界の「動的平衡」が壊れつつあると思うぞ。

おそらく今の世の中の状況は、100年に一回くらいの環境変化だろうから、これだけのサドン・インパクト(突然の衝撃)だと、前の環境に過剰適応した巨大動物(企業)からその衝撃はあらわれるだろう。

世界で起きている巨大金融機関や自動車会社の破綻。家電メーカーのジリ貧。安定企業の代表のような電力・通信のインフラ産業。いまやどの企業もエントロピーの増大はメルトダウン直前だ。

・・・メルトダウンしちゃった業界もすでにあるけど。

今からは、小さく環境適応に敏感に反応できるところしか厳しい環境変化に絶えられないに間違いない。

大企業だって安泰ではないんだよ。メキシコのユカタン半島に直径10キロの小惑星が落ちてきた1億5千万年前以前は、「恐竜」こそが最強の生物だったんだから。

大企業でも変化に対応できるところは残り、中小企業でもワンマンで硬直化した組織は残れないだろうと思うぞ。

スティーブ・ジョブスのような天才なら成功に甘んじず未来を見すえることができるんだろうけど、残念ながら僕らは凡人だ。

常に過去の栄光にしがみついている。

国家だってそうだ。日本が世界の「日出ずる国」になれたのは、明治維新と敗戦っていう二つのサドン・インパクトで組織が壊れたからこそ、強くなれたんだ。

それが今は「大丈夫です!」なんて国民を安定化させようする愚作ばかり、おそらくまた外圧があって危機的状況にならないと、この日本の将来は大変なことになるだろう。

今の日本の最大の弱点は、「多様性」の欠如にあるように思う。

 

未来に対応できる唯一の方法は「多様性」のある組織になることだ。

その「多様性」はお客様の目線に近い社員の覚醒にあるに違いない。

さあ皆さん、あなたの組織の「動的平衡」はいかに?

 

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