司馬遼太郎『坂の上の雲』(一)より

アジアにあっては日本国だけが勃然として洋化を志し、産業革命による今世紀の主流に乗ろうとした。

旧文明の中にいる韓国からすれば狂気とみえたであろうし、ヨーロッパ人からみれば笑止な猿まねと思えたに違いない。

[1923-1996] 司馬遼太郎『坂の上の雲』(一)より

NHKの『坂の上の雲』が素晴らしい。

原作と比べ多少脚色してある部分もあるが、それがこの作品をおとしめる要因にはなっていない。

原作そのものが、司馬遼太郎の思いでできた「小説」であるからだ。

政治家のセンセイが、愛読書の筆頭にあげるNo.1がこの『坂の上の雲』。

ほんとかいな?

あの現職防衛大臣の記者会見での泳いだ目線に『坂の上の雲』を読んだ気配はまったく感じられない。

日本はまちがいなく「先のことなどわかりもせず」に、近代産業革命に取り組み、徒手空拳で大国ロシアと戦わざるをえなかった。

そうしなければ、「新生日本」という赤子のような国家は、インド人を大砲の砲身にくくりつけて大衆の前でバラバラに吹っ飛ばすような英国人たちに食い物にされていたのはまちがいないのだ。

英国がインドや中国(清国)でやったこと、フランス人がベトナムやラオスやカンボジアでやった蛮行を見ると日本もああなったに違いないんだ。

あの時代、西洋人はアジア人を「同じ人間」だとは思っていなかった。

そりゃ事実だし、知っておく必要がある。

ま、問題はこんなことを教えない日本の歪んだ教育にもあるんだけどね。

とにかく「新しい日本」を創るために、カネない、産業ない、国土ない、資源ない、のないないづくしの貧乏国家ニッポンは、必死で戦い、結果として限定的とはいえ、ロシアに辛くも勝った。

ロシア革命がおきて内部から腐りきっていた・・・ってのは後知恵で、その当時は知るよしもなかったんだな。

その必死さ、武士の生き残りが、貧乏百姓が、初めて「国家のために」って意識で勝ち取った未来であるのはまちがいない。

国ってのは、福祉も提供するけど、国のために「死ぬ」ことだって強要するのだ。

「普通の国」になろう!って叫ぶ政治家がたくさんいるけど、普通の国ってのは上に書いたようなことだってハッキリ言う政治家はいない。

みんなムードでモノを言ってる政治ゴッコ屋さんばっかりだもんな。

もし、国家が人類が創った「芸術」ならば、明治日本は、世界という美術館でひときわ輝くシュルレアリズムな作品だったであろう(司馬遼太郎的だろ?)

この力作は、おそらく平成も含む近代日本を含めても、偉大な傑作であっただろう。

今の日本は、すでにルーチンワークになってて、シュルレアリズムどころか、ただの「わけのわからない駄作」になりつつあると思うぞ。

芸術が、人間の必至さと情熱で生まれるものならば、今の日本にはそのどちらも見当たらないからだ。

銃や戦艦を日本は、必死で猿まねして「国産化」しようと努力した。

おそらく戦略的見地というより、日本人の本能的衝動的行動なんだろう。

日本は基本的に貧乏だから、買うほどのカネはないし作るしかなかったてのもあるだろう。

当時の中国人たちは、「バカな奴らだ、あんなムダな努力するくらいなら買えばいい。武器は所詮消耗品だ」って言ったらしい。これは中国人的合理思想なんだろう。

しかし、結果論として、文明は自分で生み出せて初めて使いこなせるものなんだってことがわかった。

今の日本人はまったく意識していないが、このロシアへの勝利は、アジア人が近代戦争において始めて白人に勝った戦いだ。

これが当時のトルコ人やインド人らに伝播して、「第一次世界大戦」へと結びついていく。

そういう歴史観をもつことが大切だ。

近代日本という作品は、世界にデビューしたそのときこそがもっとも完成された美を持っていたのかもしれないな。

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コメント(2)

あ!arakansinさんおはようございます!
僕はとても「爺」などとは呼べません!
え!?マイア姫はブログを再会してるんですね?!
了解しました。すぐにチェッ~ク!いたします。
年末で忙しく、まさに「吾を忘れて」おりました。

いけませんねぇ・・・。こんなことでは。
早速チェックを致します。
今から書くブログは、今日わが社の社員さん・・・そうそうarakansinさんが泊まったホテル事業部の社員さん同士の結婚式があるんですよ。
そのスピーチで使おうと思っているものです。
「ミネルバのフクロウは黄昏に飛ぶ」・・・

修さん、おはようございます。(コメントはご無沙汰でも、毎日お邪魔しています)
ところで!!姫様のブログ覗いてますか~??
足跡が見えませんが...(爺として一言小言)。 (^-^)/

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